降臨者2

ただただ広いだけの荒野。その中心とも呼べるべき場所には、この荒れた大地に似つかわしくないものが存在している。 階段を残して崩れさった建物のすぐ側に置かれた、真っ白なガーデンテーブルとイス、そして湯気をたてるティーカップ。 今の彼女には、それ...

降臨者1

その日、ナギカは奇妙な夢を見た。 内容は全く覚えていないが、なんだかとても悲しい夢だった気がする。だが所詮夢は夢。時間と共に、そんな夢を見たことすらも忘れてしまっていた。  しかし、今思い返せばそれは、予兆とも言えるべきものだったのかもしれ...

「思案」

アベルとジゼル「庭園にて」の後。アベルの秘かな決意。「私の居ない間に、そんな面白いことしてたなんてね~」「全然面白くないよ、ジゼル。……大変だったんだから」 アリゼロスからボロクソに言われたあの後、端の塔に戻ったものの、俺達は……特にカイン...

「庭園にて」

双子とガブリエル双子が無邪気に遊ぶだけの話。 顔も知らぬ父から名を与えられ、しかしすぐに取り上げられて、新しい名前を授かった。 カインとアベル。 古い文献に記された兄弟の名前らしい。どちらが兄でも弟でも構わなかったおれ達は、その名前をお互い...

「双子が生まれた日」

双子とイアル。 天界の片隅で、神に愛された女は双子を産んだ。 女の名はイヴァと言う。彼女は天界にいてはならない人物だった。だから、出産の時、彼女のそばには誰もいなかった。たとえ誰かがいたとしても、彼女の未来は変わらなかっただろう。彼女は双子...

「プロローグ」

それはまだ未完成だった世界のお話。 いつかに語り継がれ、やがて忘れられたお話。―――銃声が響いた。それも、一発や二発ではなく、無数の。 いくつもの銃弾を浴びて、ついに男が膝をつく。男の虹色の髪は血で汚れ、流れる血が白い衣装を染めて、大地を汚...

「双子の妹」

双子とジゼル何も知らされなかった妹の独白。 天界は美しいところだ。地上にある不浄なものは何一つ、塵や埃、悪意でさえも存在しないのだろう。天界の中でも最も暗がりにあるこの塔ですら、醜いものとは無縁である。 ポニーテールにした長い桃色の髪を持つ...
スポンサーリンク