アイオンの鍵

創作好きの絵と文サイト。オト(@oto05i)の日々とウサギ、ゲーム、青い食べ物など。オリジナルイラストとファンタジー小説展示。

刀剣乱舞

「いまんとこ未実装」

投稿日:2015年10月9日 更新日:

二次創作 刀剣乱舞

このお話は二次創作物です。

先に言っておきますが、健全なお話なハズです。
健全。読みきり。審神者は男。
時系列的に極が未実装で、明石がレアだった時の話。
※未実装の架空の課金アイテムが出てきます。
※ゲームの仕様が変わって、一部矛盾が生じましたが直しません(手入れ中の装備変更の不可等)

 審神者のやるべき仕事は、案外多い。
積極的に刀剣集めをしなくても、日課の鍛刀と錬度上げ、出陣をしているうちに自然と刀剣は集まってくる。
巷でレアと呼ばれる刀剣も、日課である鍛刀をコツコツこなしている内に、いつの間にか揃ってしまった。単に運が良かっただけかもしれない。
しかし特定の敵、または特定の場所にしか現れない刀剣などは別である。例えば虎徹とか……眼鏡とか。

 そう、審神者は絶賛明石捜索中なのであった。

 所謂、難民と呼ばれるほど困ってはいないが、ようやく池田屋の記憶に進めるようになったので、先に来ていた来派の二人が言う保護者とやらに、早く会わせてやりたいというのはある。そのためには、三条大橋の敵陣の本拠地に乗り込まなければならないのだが、ここでひとつ、問題がある。

 正直なところ、審神者は演練やネット、ちゃんねる系で言われていた高速槍はさほど脅威には感じなかった。
無理な進軍はもちろんしないが、出陣部隊には必ず全員にお守りを持たせてあるし、戦争をしているのだから、怪我をするのは想定内だ。
悪名高きブラック本丸とは違い、手入れのための資材も札も惜しみ無く使える。その程度で首が回らなくなるような運用はしていないつもりだ。
それに高速槍は装甲もやたら分厚いが、練度もそこそこに高い短刀達ならば、刀装ごと難なく対処できる。夜戦に強い彼らの本領が発揮されてか、厚樫山周回より戦う姿が生き生きとしている気がする。
よって部隊は全員短刀である。それにより起こる問題はひとつ。

「ああっ、またっ!? 厚ー! 撤退撤退!」
『敵の本陣は目の前だぜ、大将?』
『……ぼくのことはきにせず、しんぐんのごしじを!』
「ダメダメ! だってもう刀装残ってるの厚しかいないし、全員軽傷だし、ボスマス行っても誰かは遠戦で重傷後退しちゃうからC勝利でどうせ明石出ないし!」
『……何言ってるか良くわからないが、とりあえず帰還するぜ!』

 通じないメタ発言をしながら「よろしくー」と部隊の様子を映し出す端末越しに、部隊長厚藤四郎に帰還の指示を出して審神者は一息ついた。
何がなんでもボスマスにたどり着くことに固執していないので、道が逸れるのも途中撤退するのも良くあることである。

 短刀のみの部隊が抱える問題とは、刀装を一つしか持てないために遠戦で消耗し、敵の本陣まで刀装が維持できない問題であった。高速槍が出ようが出るまいが関係なく、遠戦で敵は物量で押してくる。
弓、銃、石。戦争の基本、数撃ちゃ当たるやけくそ攻撃。
正直、狙っているとは思えないくらい大量に飛んでくるそれらをすべてかわすのは厳しい。祈るしかない。完全に運ゲー状態である。お祈り、ボーキ、うっ、頭が……

 勿論刀装をケチったりはしていない。持たせているのはすべて金色の特上ゴールデンボール。しかし一つしかつけられないのだから、あっという間に消えてしまう、儚い金玉である。

「せめてスロットが二つあればなぁ……」

 ひとりごちて、帰還部隊の手入れをしに立ち上がった。

 怪我人を手入れ部屋に押し込んで寝かしつけたあと、次に三条大橋に出陣する部隊長の平野が、審神者の元へ駆けてきた。

「あの、すみません。部隊員に配るお守りの数がどうも合わなくて、前部隊の誰かが、外し忘れたまま手入れ部屋に入ってしまったのだと思われますが、いかがいたしましょうか?」
「あー、もうみんな寝てるし、起こすのかわいそうだなぁ……」

 誰が持っているかもわからないので、手伝い札で片っ端から叩き起こすのは憚られた。
お守りは出陣する部隊にのみつけさせておけば良いため、一部隊分しか数を揃えていないのが仇になってしまった。持っているだけで使われる機会など無いだろうが、あるのとないのでは安心感が違う。お守りは審神者の心の安定剤なのだ。
そんなに高いものでもないので、もう少し余分に持っていても良い気がする。

「ちょっと万屋まで行って買ってくる。一個でいいかな?」
「はい! お手を煩わせてしまって申し訳ありません」
「いいって、すぐそこだし!」

 そう言って、審神者は万屋までのゲートに飛び込んだ。

 本当は、ソッと行ってパッと帰ってくるつもりだった。『ソレ』を見つけるまでは。
目的のお守りを手にして会計を前に、代わり映えのしない店内を見回しているときに『ソレ』は目に飛び込んできた。

 目に痛い蛍光イエローの紙に黒の太字マジックででかでかと書かれた文字……新商品、数量限定。
日本人なら間違いなく目が吸い寄せられるポップだな。

「すいません、これも下さい」

 ほとんど衝動的に手を伸ばしていた。衝動買いなんて人生初である。こんなモノにハジメテを奪われてしまうなんて……ビクンビクン。
店内に飾られた、両手を掲げた金ぴかの招きこんのすけがニヤリと笑った気がした。

 商品が透けないように丁寧に茶色の紙袋に梱包してもらい、毎度ありがとうございましたー、と万屋の美人お姉さんの声を背中に受けつつ、本丸へのゲートを潜る。
ゲートに入ってから、あ、使い方聞いておけばよかったなと思いつつも、あのお姉さんに『コレ』の使い方を手取り足取りご指導いただくのはなんか嫌だった。
なんか……うん、卑猥だ。イケナイ妄想がはかどってしまう。そうこうしている内に我が本丸に帰り着いた。

 平野にお守りを渡して、本日二回目の三条大橋出陣部隊を見送る。あとは審神者に出来ることはほぼない。定期的に入る部隊の進攻状況と刀装状態を見守り、金玉が砕かれないよう天に祈るだけだ。あぁ、審神者無力、つらい。

 さて、早速買った『コレ』をどうしようかと本丸内をうろついていると、縁側でお茶していた薬研と五虎退が目に入った。そういえば彼らは今日、内番も出陣もない休息日だったなと思い出す。

「どうしたんですか、主様」
「よう大将、暇そうだな。茶でも飲んでいくかい?」

言いながら空いていた湯呑み茶碗にダバダバと緑茶をついで寄越した薬研は、本当に良く気が利く大雑把だ。お茶していくという選択肢しかない。

「じゃあ少し休もうかな」

 薬研から湯呑みを受け取って縁側に腰を下ろす。ズズッと一口すすると気分が落ち着いてくる。うーん、程よい出がらし感。あと、おせんべいがほしくなる。
菓子容れに手を伸ばすと、紙袋がガサリと摺れる音が響いた。耳敏い二人がそれを聞き付けて、審神者の持つ万屋印の茶色い紙袋を見つけた。

「主様、なにか買ったんですか?」
「あぁコレな、お守りと……」

 ガサッと紙袋に手を突っ込んで、ちょうど良いから二人に使ってみようかなとも思う。使い方知らないが。
紙袋からずるりと引き出すと、二人の顔色はサッと青くなった。

「ヒィッ!」
「た、大将、なんだいそりゃあ……」

凶器を目撃して二人は震える。確実にSAN値を削った反応だ。

 それは、長さは大人の手のひらより少し大きいくらいあり、先端に近づくにつれて細く鋭利な形状の棒状のモノだ。取っ手の部分は握りやすく、手のひらにフィットするシリコン製で、ずっと使ってても手首が疲れないようになっている。
全体的に何故か毒々しいショッキングピンクだが、色にこだわりはないので気にはならない。
短刀たちに使うにはいささか太い気もするが、怪我をさせるつもりはないので安心してほしい。慣らしながら、ゆっくりすれば、きっと、多分、大丈夫だろう。痛がったら使うのをやめればいいのだし。しかし先端の螺旋の部分は鋭く輝いていて、実際使うとなると、中々に痛そうではある。

 ちなみにこれがナニかと言うと、一言で説明するなら……ドリルである。

 明らかに怯えた様子の二人に説明をする。

「刀剣男士専用のスロット増設ドリルだってさ。いつの間にこんな課金アイテム実装したんだろう。思わず買ちゃったよ」
「すろっと? あぁ、刀装装備枠を増やせるってことか」
「短刀は装備できる刀装も限られてるし、一つしかつけられないだろ? せめて二つつけられるようになればなぁって、ずっと思ってたんだよなー」

 その結果の衝動買いである。しかし悪い買い物ではないと思う。
スロット増設は一度行ってしまえば効果は永続するし、刀装は多くつけられることに越したことはない。これからの新ステージでも、積極的に短刀を使い続けられるなら安いもんだ。

「それで、大将は俺っちたちのドコに孔を増設しようってんだ?」
「その言い方はどうなの……」

 しかし薬研の言うことにも一理ある。
このドリル、一体どこにどう使うのだろうか。本体か、それとも身体の方か、だとしたら具体的に身体のどこに……いや、身体な訳は、ないな。

 彼ら一応、刀の付喪神な訳だし。

「薬研、五虎退、ちょっと本体貸してくれ」
「えっ……」
「おう」

 同じ短刀とはいえ、こういう時に性格が出るらしい。臆病な五虎退は顔を青くして渋ったが、薬研はひょいっと貸してくれた。
軽い。圧倒的にノリが軽い。良いのか薬研くん、主とはいえ相手に心臓握られるようなマネをして……君のその豪胆なところ好きだけど、審神者くんは少し心配です。

 さて、預かった短刀を丁重に検分するが、穴を開けて良い場所が見当たらない。強度にかかわるから刃の部分はないとして、ヤるなら鞘か? 柄……抜いて茎か? 小尻か、頭か?
いやいや誤解しないでくれ、刀の部位のことだからな!?
日本刀ってどうしてこう紛らわしい名称が多いのか……茎とか帽子とか、もろアレじゃん! もしかしてわざとアレに例えているのか、やめてくれっ! みんなの夢を壊さないでっ!! ホントやめて、なんで薬研顔が赤いの!?

「何をしているのですかな?」

 そうして片手にドリルを持ち、薬研の本体を弄くり倒しているうちに遠征部隊が帰還した。お帰りなさいいち兄!
はっきり言ってこれはお覚悟案件じゃないよね、セーフだろ、セーフ! イエスロリショタ、ノータッチ! 現に俺は薬研藤四郎の肉体の方には一切手を触れていないぞ。ついでに言うと、俺はショタコンではない!!
一期一振が笑顔で俺の肩に手を置いて、俺が薬研の本体に一生懸命ドリルをねじ込もうとしているのを見た瞬間、俺の肩からメシャリといけない音が聞こえたけど、ちょっと待って、誤解だから!

「アイタタタタタ……!!」
「これは、何ですか?」
「ちょっと待って一期、これには深いワケがぁ!」

 チラッ、と縁側を見るとそこには耳と顔を真っ赤にして両目を塞ぐ五虎退と、「なかなか強引じゃねーか、たいしょー」と、くったりとして赤い顔でニヤつく薬研が……その反応、何? あっ、俺死んだ。

「こんな卑猥なモノを弟に使おうというのですか!?」
「ドリルは男の浪漫だろいいかげんにしろ! つーか卑猥なモノって、お前たちの目にドリルは一体どう映っているんだよ、なんか憑いてんのか!?」

 ドリルの付喪神とかなにそれ怖い。あ、いやでも槍とか薙刀の刀剣男子も居るし、新たな刀剣男士の可能性も……?
いやいや、ねーよ。

「とにかく、弟達にこんなワケのわからんモノを使うのは止めて頂きたい」

 もみ合いの末(勝てるわけがねぇ)、一期一振にドリルをボッシュートされた、瞬間。

『一期一振のスロットが四に拡張されました』

 ピロリン♪

「は? 何ですか今のは」
「んんんんんんんっ! 嘘だろっ……!?」

 一期一振の手に握られたドリルは、その瞬間役目を終えて昇天した。使いきりだったのか、短い刃(ドリル)生だったな……儚い。

「いやっ、って言うか!!」

 スロット四つ、だと……バランスブレイカーにも程があるぜ。使いまわし可能だと思って一個しか買ってないアイテムを、スロット三つもある太刀に使ってしまった。これ以上強くなってどうする一期一振。
ただでさえ難民の多いレア太刀なのに、スロットが四つもあったらご近所審神者からチート容疑として訴えられるんじゃなかろうか。ちげぇから、これ公式仕様だから。
そんなことより当初の目的がぁ……!

「あの……すみません、貴重な道具を使ってしまったようで」
「いや、良いんだ一期。でもこのままだと短刀達が……」
「ま、俺ぁこのままでも良いと思うがな」
「僕も、主様のために、頑張りますからぁ」
「皆……そうだな、スロットなんて関係ない。レベルを上げて物理で殴るのが刀剣男士だもんな」
「私から目を逸らすのを止めてもらってもよろしいですかな」

 ゲートの方がガヤガヤと騒がしい。三条大橋に行った部隊が帰ってきたようだ。

「帰還いたしました」
「たっだいまー!」
「連れ帰ってきたぜー!」

 眼鏡難民、脱却しました。

 余談だが、演練にこのムキムキ一期一振を連れて行ったら本当に通報された。
ついでに歴史修正主義者からも「四スロレア太刀見ると士気が下がる」「物量で押してくるのは卑怯なり」「あなたの太刀のせいでうちの短刀ちゃんが家出しました」「検非違使こわい」「チート乙」「どうあがいても絶望」と、苦情が入った。ごめんなさい。

 その後、万屋に行ってもドリルは完売しており、入荷時期未定となっていた。どうやら告知無しの先行販売だったようだ。
俺は先行購入者として政府(運営)に要望メールを出した。

『使用方法に改良の余地あり。スロット増設ドリルは、短刀専用にすべきである』と。

ダブルレクタングル用

ダブルレクタングル用

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